2022.06.30

つねづね草  ~元校長のひとり言~

 湿度が高く蒸し暑い日本の夏が近づいています。マスクの息苦しさも日に日に増してきました。6月も下旬になり、今年も半分が過ぎようとしています。マカトンサイン親子教室も春期クラスが終わりましたが、この時期、いつも最終回の自己紹介では、「今年の夏にしたいことは何ですか?」とお聞きしています。「コロナ禍ずっと実家に帰れていないので、今年はおじいさんおばあさんに会わせたい。」「富士山を見せてあげたい」「水あそびをさせたい」「機関車トーマスが好きなので、SLに乗せてあげたい」などなど、お答えはいろいろですが、お子さんと一緒にしたいことは山ほどありますね。私もこの夏は、実家に帰って、母や姉妹、幼なじみの友だちとゆっくり会って話がしたいと思っています。みなさんはこの夏、何をしたいですか?

 さて今回は、「学内研修会」についてです。6月10日は高等部職員が、14日は小学部職員が、15日には中学部職員が、17日には専攻科職員が、他学部の教育実践の様子を見学しました。そのため、各学部一日の休校にさせていただきました。旭出学園は、一貫教育を謳いながらも、学部間でそれぞれの学習活動や子どもたちへの支援の仕方を直接見る機会は多くありません。ましてコロナ禍になり、他学部との交流は無くしている状態です。合同行事もここ2年以上全く行われませんでした。他学部を知ることは今自分たちの目の前にいる子どもたちのこれまでの様子やこれからの目標を振り返ったり、考察したり、計画したりするためです。この研修は、各教員自身の支援に活かされるものでなければなりません。

研修に参加した全ての職員のレポートを読ませてもらいました。少しだけ抜粋してみました。
「今回の研修で、今担当している児童がどのように成長していくかということをイメージすることができた」
「小学部から専攻科になるに従い、環境や対応が変わっていき、生産人を育てるための理にかなったシステムが実行されていることを感じられた」
「普段は見られない他学部の様子を見ることは、旭出に勤務する教職員にとって、生徒の育ちを学齢期レベルで考えることはとても重要なことだと感じる」
「小学部でたくさんの要求やコミュニケーションの楽しさを身に付け、中学部で少しずつ遊びとそれ以外の分化をし、高等部で自己理解を深め、専攻科で社会に巣立っていく準備をするという旭出の一連の流れを理解できる一日だった」

 「百聞は一見にしかず」、ということでしょうか、現在の旭出学園が実践する一貫教育を各教職員が実感することができたと思います。他学部を見学し合うという校内研修は、これまでにも繰り返し行ってきました。学部毎に、土曜日に登校して見学し合うこともしましたが、見学者が大人数になり、非日常的なことになってしまうなど反省点も多く、今回のやり方にしたのだと思います。
 小学部から専攻科まで、長いお子さんですと、15年間を旭出学園で過ごしていただきます。本校の一貫教育は、もちろん児童・生徒の成長や社会参加に向けた取り組みに応じて生活環境や社会環境を拡大していくとともに、成長に合わせた教育実践を提供することです。ですが、学部毎に何を学習するのかよりも優先することは、一人一人のお子さんの成長のペースに合わせた支援方法に配慮し、個性豊かなお子さんの意欲や態度や知識技術などを申し送られた事柄を引き継ぎつつ、積み上げていくことです。その子のこれまでの歩みをよく知ることが大事になります。同じやり方を継続しなさいということではなく、その子のこれからの歩みに必要なことをどう積み上げていくかをその子の歩みからから学び、支援するという一人一人の子どもたちへの一貫性のある教育支援が基盤になります。旭出学園に根付く一貫教育について、他学部を見学することで感じ取ってくれた若い職員の方々、再確認したベテランの方々の感想を読ませていただき、理解と実践への意欲が高まったことをとてもうれしく思いました。
 そして、この研修が実りあるものになる予感がしています。休校にご協力いただきありがとうございました。

見て感じ 触れて思いを 膨らませ 今日もやるぞと 共に手を取り