20191203_ご挨拶

 旭出学園(特別支援学校)理事長就任にあたって

学校法人旭出学園 理事長  徳川 恒孝

長い間、旭出学園の理事長として献身的に御活動をされて来られた肥田野先生の後任として理事長職をお受けすることになりました。微力ではありますが少しでもお役に立つべく努力してゆきたいと思います。

私の長女も旭出学園にお世話になり、現在も生産福祉園でお世話になって居りますが、私と旭出学園の御縁はそれよりずっと古くからのものです。私の叔母徳川正子の長男、五郎太君と私は同い年で、幼いころは良く一緒に遊んでいました。終戦直後の頃です。しかし年齢が重なるに従って、五郎太君の障がいが明らかになり、叔母正子はそれまで日本にはあまり無かった全寮制の知的障害児専門の学校施設を作ることを考え、まだお若かった坂本豊先生を通じて三木安正先生を知り、先生のお力添えと御指導を得て旭出学園の設立に力を注ぎました。叔母正子は私の祖父の松平恒男が駐米・駐英大使を務めたころ一緒に米国・英国で娘時代を過ごしましたことから、欧米の知的障害の施設のあり方を研究し、日本にも同様の施設が必要であると考えて設立に努力したものと思います。

小さかった旭出学園はその後三木安正先生、坂本豊先生など多くの先生方の大変な御努力で発展し、生産福祉園を通じて生涯教育の場、生涯生活の場として大きく成長しましたが、その経営は決して容易なものでは無く、これまで多くの方々のご尽力で漸く現在の姿に育ってきたものと思います。

知的障害児を持つということは両親にとっては本当に、大変に重い負担になります。経済的にもそうですが、精神的な負担はもっと大きなものだと感じています。しかし五十年前に比べますと社会の理解も進み、また社会全体がその負担を担うという面でも大きな進歩があったのも事実であると思います。子供たちがイジメにあって心が傷つくことなく、明るく毎日をすごすことの出来る学園を継続し、さらにより多くの障害児の為に素晴らしい「場」を提供して、多くの子供たちが明るく楽しく成長して行けるように、学園の皆様、御父兄の皆様と御一緒に出来るだけの努力をしたいと思います。

 

ようこそ旭出学園へ

旭出学園(特別支援学校) 校長 岡 田  馨

 平成28年度より本校の学校長に就任いたしました。微力ではございますが、児童生徒が楽しく過ごせる学校をめざし努力してまいります。私は、この学園の創設者であり特殊教育研究連盟(現全日本特別支援教育研究連盟)初代理事長でもある(故)三木安正先生の教えを受けた一人として、本校の教育理念を基本に実践を積みあげ、次世代へ継承することも大きな課題だと思っております。歴代の校長先生、諸先生方のご教示も賜り、旭出学園らしい「子どもから学ぶ」という姿勢を大切にしてまいります。

 本校は、私立の特別支援学校として独自の教育を進めています。実際の日々の生活を通し、その生活ができるようにする生活教育。自分の持っている力を仕事で十分発揮させ、適切な評価を受けることは自信につながり、その結果何事にも目標に向かって努力しようという自覚を持たせる生産教育。社会参加と自立をめざし、生涯にわたり学びの支援をする生涯教育を指導の柱としています。学部は幼稚部小学部、中学部、高等部、高等部専攻科を設置し6歳から21歳まで16年在籍できる教育期間を備えています。また、将来に向けグループホームでの生活を想定し、6週間の体験ができる生活自立寮があること、教育研究所では臨床心理士や言語聴覚士の資格を持った専門家の指導と相談を受けられること、同窓会「旭出あおば会」で卒業後の生活・就労・余暇支援を行い生涯支援の一つを担っていることも本校の特色としています。

 私は、この学校で子どもたちと学びながら“教育をする”ということを次のように考えています。興味や関心があることに自ら取り組む気持ちを持たせること、いろいろな体験や学びを通し新しい知識を得て、それを活用すること、そして社会に適応できる人に成長させることだと考えています。子どもが学ぼうとする時に、学校は適した環境や教材などを設置することは勿論です。支援者は子どもの気持ちに寄り添い一緒に考え、出来なかったことから達成への手がかりを分かりやすく指導し、子どものための実践と研究を繰り返し行うことが必要だと考えています。小さな成功体験を重ねることで大きな自信につながり、やがて学校から社会に巣立ち、それぞれが力を発揮していきます。

 私たちは、お子さんからのメッセージを真摯に受けとめ、教職員と保護者が大きな家族となり、お子さんを中心に生涯に向け共に歩んでいきたいと思います。本校に興味をお持ちの方がいらっしゃいましたらいつでも見学や相談にいらしてください。お待ちしております。