2023.02.22

つねづね草 ~元校長のひとり言~

 今週末は、展示発表会とのことで、各部体育館などでの展示準備が活気づいています。今年も学部毎の見学時間が決まっていて制限はありますが、小学部から中学部、高等部、専攻科の作品が一堂に展示されますので、他学部の作品なども見ることができます。先ほど体育館を覗くと、全校の児童生徒の手の入った「ハートの門」がありました。言い伝えによりますと、好きな人と一緒に手をつないでくぐると幸せになれるそうです。ここ一週間で急速に広がった言い伝えだそうです。

 

 先日、専攻科3年生、修了生の保護者のみなさんに、令和4年度から開設した『生涯支援部』について説明させていただきました。

 創立当初に掲げられた「卒業のない学園」は“生涯支援”として、平成12年度から再編成された同窓会『旭出あおば会』でその役割を担ってきました。令和4年度より、『生涯支援部』内に「同窓会『旭出あおば会』」と「就労・生活相談部」を開設し、余暇支援、相談、就労支援、広報等を行い、卒業後の支援を通して社会で求められる力、人生の節目での支援の在り方などを共にを学んでいます。

 年3回発行の旭出あおば会ニュースの印刷、折り、封入、ラベル貼り、封緘は専攻科ペーパー―ワークの皆さんが担っています。就労支援につきましては、卒業または修了後3年間は、毎年夏季休業期間を中心に学校教職員が職場巡回をしています。現在は各地域に、就労移行支援事業所や就労支援センターがあり、本校も各生徒のお住まいの事業所とは情報を共有し、協力体制で支援をしています。卒業後3年間は学校教職員の方が本人や保護者の望みも理解していることもあり、また卒業生の成長の様子や困り感などから支援方法を提案できることもあります。そして何よりも私たちにとって、卒業生から学ぶことは、貴重な共有財産にもなります。

 「同窓会『旭出あおば会』」の余暇支援は、中高専の学生時代に行っていた「授業時間割配当内の『縦割りのクラブ活動』」をイメージして、学園内で活動しています。コロナ禍で、中断していた時期もありましたが、健康カードの記入や参加人数を制限することなどの対応で、昨年度から再開しています。今年度は、6月から3月まで9回開催し、好きなクラブを一人3回選んで参加してもらっています。約2時間の活動ですが、音楽クラブは人気なので、午前と午後に分かれて開催する月もあります。美術クラブ、運動クラブ、ダンスクラブを開いています。得意分野で教職員のみなさんに協力してもらっています。

 令和2年度(新型コロナウイルス感染症が拡大し始めたころ)に高等部、専攻科に入学した今年度の卒業生は、この縦割りのクラブ活動を経験していません。また、ほとんどの行事が、感染症対策の為に以前のやり方ではありませんでした。行事等に、保護者の方々が対面で参加することも限られていました。

 保護者からこの三年間での感想をお聞きすると、「研修旅行会を楽しみにしていましたが、思い描いた体験はできなかったのが残念です。」「保護者や先生との交流が少なくなってしまい、何もせずに三年間が過ぎてしまった気がします。」「体験実習も思うようにできず、就労への意識がなかなか持てなかったようです。」とのお話しをいただきました。

 改めてこの三年間に悔いが残る想いがしました。仕方のないことでしたが、アイデアを絞り出して学習活動を進めてきたのも事実です。

 学園を巣立つみなさんにとって、「同窓会『旭出あおば会』」は、学校生活や仲間との活動を思いだし、楽しみ、リフレッシュできる場となるよう、これからも支援していきたいと思います。

コロナ禍の この三年よ 巻き戻せ 楽しきことよ この指とまれ