2025.06.30

つねづね草 ~元校長のひとり言~『18歳の壁』

 6月21日(土)に今年度最初の同窓会旭出あおば会の余暇活動がおこなわれました。午前中は「音楽クラブ」と「和太鼓クラブ」、午後は「音楽クラブ」と「運動クラブ」でした。連日の猛暑のためか、体調を崩してしまうなど欠席者もありましたが、午前の音楽クラブに9名、和太鼓に9名、午後の音楽に9名、運動に7名が参加し、元気な姿を見せてくれました。余暇活動支援の協力教職員は11名で、各クラブ3名から5名の支援体制でおこないました。教職員のみなさんには、年間で4,5,8月以外の月1回全9回開催する余暇活動にできれば3枠(午前と午後で1枠ずつ)の支援協力をお願いしています。それによって卒業生の支援活動は、支えられています。各クラブの参加者の感想は、青葉のつどいで歌っていた「花のまわりで」が歌えてうれしかった、小学部の時に和太鼓で叩いた3,3,7拍子ができて楽しかった、バスケットもフリスビーも楽しかった、みんなに会えてうれしい等がありました。「みんなに会える」「懐かしい」がキーワードのようです。

 午後の音楽に参加した職員のこぼれ話です。「今日は20代の頃に聴いていた歌が聴けて、懐かしかった。よくブックオフに寄り道して遅くまで聴いていて親に叱られた。」「今はもう体力がないからそんなことはできない。」と言うので、「今は何十代なの?」と聞いてみると「40代です。」「まだまだ若いから大丈夫よ。」と返したら、それを聞いていた別の卒業生が「歳のことは言わないの。元気に頑張ろうよ。」と励まされたそうです。確かに、卒業生からは励まされることの多い今日この頃です。

 さて今回は、「18歳の壁」についてのお話です。一般社団法人障がい児及び医療的ケア児を育てる親の会 会長の工藤さほ氏にお話を伺いました。「障害の程度が重く、常時介護が必要な子どもの多くは、特別支援学校高等部を卒業後の18歳以降、平日は「生活介護」や「就労継続B型」の施設に通います。それら事業所や施設の多くは、15時~15時半位に終了してしまい、その後に過ごす居場所がありません。そのため、多くの保護者(主に母親)が仕事を止めたり、働き方を変えたりせざるを得ない現状があり、「18歳の壁」と呼んでいます。自立が難しい子どもを育てているからこそ、働き続けたいと願う親たちがいます。子どもを養うために働き続けている人もいますし、ひとり親も少なくありません。子どもが18歳になった後の居場所が整備され、働き続けたい人が働けるような社会を願っています。」これは5月7日超党派医療的ケア児者支援議員連盟に、親の会から提出された資料の前文ですが、厳しい現実が身近にあることに改めて何ができるのかと思わされます。18歳までの学童や生徒は、放課後等デイサービスの事業所が開所されたことで居場所が整ってきていますが、高校を卒業するとそれが利用できなくなる、それによって、生活の変化を受け入れるまで精神的に落ち込んだ様子の生徒のケースを見聞きしたことはありました。本校でも、専攻科で二十歳を迎えると居場所がなくなるという保護者の方々の現状を思うと何らかの手立てはないものかと思います。工藤さんからの情報ですと、品川区は今年4月から、「18歳の壁」による親の介護離職防止事業をスタートさせ、生活介護の後の数時間の「延長ステイ」を実施する事業所に補助金を支給するとのことです。今年2月に、重症心身障がい児の母親3人で、都議らを通じて、区に申し入れをして、スピード実現したそうです。保護者のパワーは人を動かしますね。補助金は大事ですし、支援員を集めることがどの事業所でも厳しい現状があります。人が必要なところに人が来ない社会になってきています。教育にもそうですが、人を育てたり、支援したりする現場にまずお金が届くようにしなければ教職員も支援員も集まらず、維持継続はできなくなります。難問であり、生涯支援を掲げる旭出学園の大きな課題でもあると思います。保護者のみなさまのお知恵やお力をお貸し願いたいです。

笑い呼ぶあなたの言葉繰り返すまた逢う日にも元気でいよう